Top News 父喜紹介 徒然父山 喜也草子 CD 冷岩-coolrock- X'mas ×X'mas 父喜苑 2005.11.20.


■アナログ   11.10.


父山であります。
今回は制作環境の話なぞを少々。

小生の主な業務は楽曲制作であるが、そのほとんどをMacintosh一台で完結する、いわゆるDTM(Desktop Music)という方式で行っている。
一昔前なら設備の整ったスタジオでなければ出来なかった音の処理が、今や自宅の一角で出来るのだから、Macに足を向けては寝られない思いである。

しかし全てがDTMで可能になった訳ではない。
その足りない部分を、このところ特に意識するようになった。

「音の艶と暖かみ」。

はっきりと形に出来ないだけに見落とされがちではあるが、音楽をより音楽的に響かせる為に欠かせない要素と言える。
DTMで作った音は整然としていて実にクリーンではあるが、反面どこか直線的な冷たさがあり、楽曲のタイプによっては、
音楽的に気持ちよい音を作るのが難しかったりする。

では、スタジオで制作された音が、DTMで作ったそれよりもより音楽的に聴こえるのは何故か。

一言で言えば「アナログの良さ」なのだと思う。
スタジオには最新デジタル機器も大抵揃ってはいるが、現役で使用されているミキシングコンソール、外部エフェクター類の多くはアナログ機器である。
特にビンテージと呼ばれる年代物の機器は、多くのスタジオで今でも珍重されている。
ビンテージ機器は価格も高く、一台数百万などというものもざらにある。
電力消費も大きく、メンテナンスにも手間がかかる。
しかし、それでしか作れない音が厳然としてある。
DTMより良くて当然なのだ。

しかし、スタジオのクォリティに迫る手段が全くないかといえば、有り難い事に最近はそうでもなくなって来た。
CPUの高速化によって、ビンテージアナログのシミュレートをするソフトウェアが登場したからだ。
このところ各社から続々と発表されており、そのいくつかは本物にかなり良い線で迫っている。

小生が最近凝っているのはNomad Factory 社の BlueTubes Bundleという製品。
http://www.minet.jp/nomad/products/bluetubes/index.html

真空管を使ったビンテージ機器のシミュレートなのだが、いかにも年代物という見かけも良い。
音はと言うと、これが実に太くて暖かいアナログ感を出してくれる。
まだ試している段階ではあるが、ボーカルトラックに使用すると、色気と艶がぐっと増す。
ベースでは音程の芯がはっきりして、音が前に出てくる。
既にお気に入りの一品となってしまった。

テクノロジーの進歩が、昔のサウンドの再現に向かうというのは奇妙な印象を受けるが、人が自然にアナログを求めている現れなのかも知れない。

人が人である限り、気持ちよいと感じるものは変わらないのだろう。